血管性認知症

血管性認知症とは

私たちの脳は血管によって、酸素や栄養分を提供されています。
脳の血管の一部が詰まったり(脳梗塞)、破れたり(脳出血)すると、その血管が担っていた部分の脳の神経細胞が障害を受けます。そしてその神経細胞が担っていた機能が失われて認知症になるのです。これを血管性認知症といいます。

この病気の方はどのくらいいるのですか?

認知症の原因となる病気として、アルツハイマー病の次に多く、有病率はだいたい100人に2人くらいです。かつては、わが国の認知症の原因となる病気の第1位でしたが、高血圧、糖尿病、脂質異常症などに対する予防や治療が進んだため減少してきました。
ただし65歳未満発症の若年性認知症の原因疾患としては最も多く、約40%を占めます。

この病気はどのような人に多いのですか?

年齢は60~70歳代に多く、男性に多い傾向があります。高血圧、糖尿病、脂質異常症などの基礎疾患があるとなりやすくなります。こうした基礎疾患をきちんとコントロールできていなかったり、喫煙をしたりしていると、血管に弾力がなくなり、血液の流れが悪くなります。このような状態を動脈硬化といいます。動脈硬化が悪化すると、やがて、脳の血管が詰まったり、破れたりします。その結果、神経細胞に栄養が行き届かず、失われてしまい、脳の働きが悪くなるのです。

この病気は遺伝するのですか?

一部には遺伝するものもありますが、基本的には遺伝はしません。

この病気ではどのような症状が起きますか?

脳のどの部分がどのようにして障害されたかによって症状は異なります。また、手足の麻痺、構音障害、飲み込みの障害、感覚障害などの神経症状を伴いやすいのが特徴です。

画像検査ではどのような所見がみられますか?

MRIやCTで脳梗塞や脳出血を認めます。部位としては小さくても、非常に大きな役割をもつ場所に生じた脳梗塞では、脳梗塞が起こった場所だけでなく、その部位と機能的に密接な関係のある領域の障害が脳血流SPECT検査で認められることがあります。

この病気はどのような経過をたどるのですか?

ほとんどのタイプの血管性認知症は、初めて脳血管が詰まったり、破れたりした時に突然発症します。そして新たに脳血管が詰まったり、破れたりすると、そのたび一段と症状が悪くなります。いわゆる「階段状」の進行です。
しかし、細い血管が少しずつ詰まるタイプの血管性認知症の場合は、必ずしも「階段状」には進まず、ゆるやかな進行をたどることがあります。

この病気にはどのような治療法がありますか?

残念ながら、一度失われた神経細胞はもとに戻すことはできません。脳の血管がさらに詰まったり、破れたりして、新たな脳の神経細胞が失われないように、血圧をコントロールしたり、糖尿病や脂質異常症をきちんと治療することが最も大切です。

出典:認知症知って安心!症状別対応ガイド( メディカルレビュー社 )
監修:大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室 教授
武田雅俊
著者:大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室
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