認知症による服薬の拒否への対応法

更新日:2021/12/09

記事監修

高知大学 医学部 神経精神科学教室 教授
數井 裕光 先生

高齢者の方に処方される薬は、種類も多く、なかなか管理が大変です。そのうえご本人は「どこも悪くない」と思っていることが多いですから、飲んでいただくのがまたひと苦労です。

「毒を盛られている」といった妄想を抱いている場合もあります。無理に勧めてもすぐに吐き出してしまうことも多いので、注意深い対応が必要です。

対応法

納得しやすい説明を

「血圧が高いので血圧を下げる薬です」「ビタミン剤です」など納得していただきやすい説明をしてみましょう。今かかっている病気を忘れている場合は、「歯医者さんの薬です」など、覚えている病気を理由にしてみるのも一つの方法だと思います。

形をかえてもらってみましょう

医師に相談して、ご本人の飲みやすい形状に変えてもらうのもよいでしょう。
薬によっては同じ効力でゼリー状になっているものや、水分に混ぜやすい液剤、貼り薬などもあります。
ただ、ご家族の方が勝手に砕いたりカプセルを開けることは、薬の効力を損なったり、苦みが出て飲みにくくなる可能性があるのでよくありません。薬剤師、医師に相談しましょう。

周囲の方も一緒に

周囲の人が一緒に(ビタミン剤やラムネ菓子でもかまいません)薬を飲んでみせると服薬することがあります。

どうしても飲めない時は

医師に相談してジャムやゼリーに混ぜ込んでよいものなら、そうした手段をとることもあります。薬を飲むためのゼリーは市販もされています。
食事に混ぜ込む方もいらっしゃいますが、せっかくの食事がおいしくなくなってしまい、食事拒否につながりかねません。混ぜる場合は、ほんの一口だけ別分けにして混ぜ、食事自体はおいしく召し上がっていただきましょう。

時間は融通をきかせられる場合もあります

食前、食後、食間・・・となっていても、薬によっては融通をきかせられるものもあります。医師に事情を説明して何時間おきならよいのか、食事を前後してもよいのかなど尋ねてみてください。 また、最も大切な薬は何か、一回にまとめられないかを相談し、必要な回数だけは最低限飲んでもらうようにしましょう。

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