認知症による自律神経障害への対応法

更新日:2021/12/09

記事監修

高知大学 医学部 神経精神科学教室 教授
數井 裕光 先生

レビー小体型認知症の方は自律神経の働きが悪くなり、血圧のコントロールがうまくいかずに立ちくらみを起こされることがあります。
健康な方は座った姿勢から急に立ち上がっても、自動的に血管を収縮させて、脳から血液が一気に降りて行くことを予防するのですが、レビー小体型認知症の方はその働きがうまくいかず、起立性低血圧を起こしてしまい、ひどい場合は失神することがあるので注意が必要です。
また、便秘頻尿もしばしば認められます。急に尿意をもよおし我慢ができずもれてしまうこともあります。ほかにもたくさん汗をかくよだれがたくさん出る、などの症状が現れることもあります。

気になる症状がある方は、こちら

対応法

立ちくらみ、失神

寝たり座ったりした状態から立ち上がる際は、ゆっくりと身体を起こしましょう。特に朝の起床時には気を付けましょう。
入浴後・食後も気をつけましょう。
日中に弾性のストッキングをはくことも効果があります。
薬での治療が効く場合もありますので、医師に相談してみてください。

頻尿・便秘

頻尿は薬での調整が中心になります。
便秘については、朝食後の排便を早いうちから習慣付けましょう。
食事の工夫や体操、マッサージも効果的です。

多汗

レビー小体型認知症の方は体温の調節がうまくいかず、汗がたくさん出てしまうことがあります。
汗が出ているからといって暑いわけではなく、かえって汗のせいで体温が下がってしまい、低体温症を起こすこともあって危険です。下着の取り換えや、衣服による体温調節に気をつけてください。

よだれ

レビー小体型認知症の方は、よだれがたくさん出ることがあります。この原因の一つは、健康なら無意識に飲みこんでいる唾液を、飲み込めなくなっているからです。

  • ご本人に意識して唾液を「ごっくん」していただく
  • 口周りの筋肉を動かす体操をする
  • マッサージをする
  • 口のなか、舌を清潔に保つ

などの対応があります。

詳しくは、言語聴覚士や看護師・保健師にお尋ねください。

ページトップに戻る