ある日突然主人が脳梗塞 そして認知症に 福井県支部 会員

脳梗塞の発症

 「ちょっと体がおかしい…」呂律の回らない口調で携帯電話からの主人の声。2005年8月12日、午後の出来事です。私はびっくりして仕事先から家に戻りました。居間のテレビの前で尿を漏らして倒れていました。救急車で運ばれて、検査の結果は脳梗塞。

 右半身麻痺で40日間の病院生活は主人の生活を180度変えました。言葉を失い、立つこともできなくなって主人も戸惑いましたが、それ以上に看病経験ゼロの私にとっても青天の霹靂でした。主人は59歳の誕生日を迎えて4ヵ月目の出来事でした。私は54歳、まだまだ介護は他人事のつもりでした。

断られ続けた介護サービス

 介護サービスは退院後すぐに受けられるようになっていました。ところが、元気だった人がある日突然病人ですから、病気慣れもしていません。デイサービスに行っても帰宅願望が強く、また、力は十分にあり車椅子で暴走しては、周りの人に迷惑をかけていました。お願いしたデイサービスの方から断りの連絡が何度かありました。その都度、私のピンと張った心の痛みが限界にきていました。

 そして、3ヵ月程お願いをしていた所からも、とうとう断られたのです。帰り際に「もし、あなたのお父さんが今の主人のような状況だったらどうしますか?」と尋ねますと、「僕だったらドクターを探します」と言ってくださいました。実はその頃、主人は脳梗塞から認知症になっていました。ところが私は、脳梗塞は受け入れたのですが、認知症は認めたくなかったのです。ですから、人にも主人が認知症であることを言ってなかったのです。

転機

 崖っぷちに立った私は、ようやく知人に認知症のことを言えたのです。びっくりした知人は、それだったらと病院を紹介してくれました。さっそく、主人とその病院を訪れました。私に何枚かの書類をくださり、細かく記入して帰りました。そして、何日かして私だけが病院に呼び出されました。私のカウンセリングでした。

 ソーシャルワーカーの人と看護師さんが、二人でじっくりと3年間の私の想いをすべて聞いてくださいました。娘たちにも、親にも、友人にも、誰にも言えず、ただこれは私のことだから…と自分に言い聞かせては我慢していたすべてのしこりを、涙とともに何の気遣いもなく出すことができました。そして、私の気持ちをわかってくださる人がここにいる、という安心感で心が温かくなったのを感じました。3年間のモヤモヤが、とてもスッキリとして長いトンネルから抜け出せた気がしました。(余談になりますが、先日、福井で介護されていた奥様がご主人を殺めた事件がありましたが、私のようにカウンセリングの機会があったならば、こんな不幸な結果にはならなかったかもしれないと、残念でなりません。)

 それから、やはりショートステイやデイサービスをお願いして、1週間に4日はデイ利用で、私は仕事に全力投球することにしています。その代わり、週3日は主人に100%の日にする、このようにして気分転換しながら心豊かに生活しています。

「ぽ~れぽ~れ」通巻416号(2015年3月25日発行)