「私にとっての介護」~82歳の母を介護する44歳の娘~
青森県支部 Y.I

受診のきっかけは、体の不調から

 母は5年程前に認知症の疑い、3年前には「アルツハイマー型認知症で間違いない」と言われました。20年程前に手術をした脳の周りの萎縮が激しかったそうです。昨年9月に介護保険申請をし、【要介護度1】。受診のきっかけは、母があちこち体の不調を訴えてもどこも悪くなく、それでも心配であれば、精神科で診てもらうように言われたからです。今思うと、母の言動がおかしい事は沢山ありましたが、その時の私は年齢や性格的なものだと、いつも母を怒ったり、責めたりする事しかしませんでした。

母から逃れたい

 ずっと長い間親子関係は上手くいっていず、会話も殆どなく、母も私もストレスを感じながら生活し、私は心身共に疲れていました。そんな時に、母が認知症と診断され、これから一人でどうやって母を抱えて生きていったら良いかと途方に暮れました。母は、そんな私の事などお構いなしに色々な問題行動を起こし、その後始末に追われ、私は毎日泣いてばかりでした。「母から逃れたい。早く楽になりたい」という事しか頭の中にありませんでした。

人と本との出合い

 そんな中、近所で開催されている体操教室に行きました。在宅介護支援センターの方に話を聞いて頂き、気持ちも楽になり、病院の先生に困ったり、分からない事を聞いてみようと思えるようになりました。
 気分転換で行った図書館では、介護についての本と出合い、「正しく対応する事で、認知症の人の状態を改善する事が可能だ」と知りました。私の対応が母にとっては良くなかった事、そのせいで私もどんどん辛くなっていた事が分かったのです。

元気になった母の姿を見て、晴れやかに

 学んで良いと思えるものはとにかく挑戦しました。その一つがアロマオイルです。認知症になってから、夜中に何度もトイレへ起き、日中はボーッとする事が多くなった母。使用してから夜中の回数が減り、眠りの質も良くなりました。数ヵ月後には、何でも億劫がっていた母が、自分から何かをしたいとまでなったのです。元気になった母の姿を目にして、私自身の気持ちが晴れやかになりました。
 それからは、無理強いせず、気分の良い時は家事の手伝いをしてもらい、その代わりに、そろばんの読み上げ算や卓球、トランプや花札など2人でやれることを増やしました。人の集まる所へも出掛け、とても良い気分転換になりました。

今の生活がとても幸せ

 気がつくと、3年前とは比べものにならない程、生活が落ち着き、私は今の生活をとても幸せだと感じる事ができます。そう思えるのは、母が認知症になってから本当に多くの励ましやサポートがあったからです。沢山の本を読み、自分の心を強くする事が、大きな助けとなったようにも思います。
 主治医から、「数年後には、家族の顔も名前も分からなくなる日が来る」と言われ、とても悲しい現実ですが、大変な思いをしているのは私だけではありません。母も同じだと思うのです。母は母なりに毎日一生懸命頑張っているのです。だからこそ、母との楽しい思い出を沢山つくりたいのです。それが、私にとっての介護なのです。

「ぽ~れぽ~れ」通巻422号(2015年9月25日発行)