映像プロデューサー / 平田 知弘 さん 映像プロデューサー / 平田 知弘 さん
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本人と出会えば一瞬でなくなる偏見もあります。

映像プロデューサー /
平田 知弘 さん

NHKを退職後、BLG!を全国100カ所に増やし、
互いに学び合うプラットフォームをつくる「100BLG」や、
認知症の人や家族を含めた地域の集い場「SHIGETAハウス」など、
認知症に関わる活動を新たに始めていますね。

これも二つの理由があります。一つは仲間といて楽しいからです。100BLGにしてもSHIGETAハウスにしても、同じ方向を向いている人たちと一緒に時間を過ごせるということが僕にとって大きいのです。
もう一つの理由は、認知症に関わることに価値を見いだしているからです。人がどう生きるかとか、人間はどういう存在なのかを考えることと、認知症は強く結びついていると僕は考えています。もう少しわかりやすくいうと、認知症は社会の矛盾を反映している。だから関わっているわけです。

一つ付け加えておきたいのですが、人によって認知症に対して思い浮かべるイメージは全然違います。認知症のある人といっても、施設に入っている人もいれば、まだはっきりと診断を受けていない人もいます。施設に入居している人をイメージして、「認知症の人」といっているケースも多いでしょうが、僕はもう少し広い範囲で本人さんたちと出会っているので、思い浮かぶものが違っているような気がします。世の中のイメージはけっこう偏っている印象を受けるので、現実に合ったものに是正したいという思いがあります。そうしないと話が噛み合いませんから。

NHKを退職後、BLG!を全国100カ所に増やし、互いに学び合うプラットフォームをつくる「100BLG」や、認知症の人や家族を含めた地域の集い場「SHIGETAハウス」など、認知症に関わる活動を新たに始めていますね。
本人と出会うことの大切さは今日のお話でよくわかったのですが、
一般の人は、家族が認知症でなければなかなか「出会い」の機会がありません。

そうですね。入居施設が多いことのマイナスの側面というか、認知症のある人たちを一定の場所に集めてしまうと、「この社会の中に認知症のある人はそんなにいないんじゃないか」という錯覚を持ってしまいやすいと思います。実際、僕もそうでした。たまたまきっかけを得て、大阪の男性と出会ったり、BLG!に行くことができたので、自分の間違いに気付けました。
BLG!に通うメンバーさんたちは、企業から請け負う有償ボランティアに加え、地域の小学校での紙芝居の読み聞かせなどもしています。認知症に関する紙芝居なのですが、読み聞かせの後にメンバーさんが「実はおじちゃんたちも認知症なんだよ」と話すと、子どもたちは「おお!」っとなるわけですよ。いま紙芝居を読んでくれた人が認知症なんだと。そういう活動も大切だと思います。

この3年ぐらいで、認知症に対する社会の見方はずいぶん変わったように思います。少なくとも「何もわからなくなるのでしょう」といった決め付けはだいぶ減ったのではないでしょうか。一方で、「認知症の人は普通に暮らす普通の人」ということばかり強調される傾向には少し危うさも感じています。それも何か違うなと。「自分の人生に大きな出来事が起こり、不安や悩みを抱えながら今を生きている人たち」という捉え方が大事ではないでしょうか。

あなたにとって認知症とは何ですか?(映像プロデューサー / 平田 知弘 さん) あなたにとって認知症とは何ですか?(映像プロデューサー / 平田 知弘 さん)
──あなたにとって認知症とは何ですか?

僕の住むこの周りにも認知症のある人はいるでしょうし、認知症は日常のものという感覚です。だから別に考えなくてもいいではなく、日常だからこそ、認知症とはどういうものなのか、認知症になるとはどういうことなのか、もっと理解する必要があるのかなと感じています。

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