近藤英男 さん・小夜子 さん 近藤英男 さん・小夜子 さん
#4
もともと多かった友だちが、
認知症になってさらに増えました。

近藤英男 さん・小夜子 さん

講演を頼まれることもあると聞きました。

英男さん
講演もしますよ。

小夜子さん
医療や介護の専門職の方向けの時もありますし、一般の方向けの場合はシリーズというか、「認知症について認知症の人から学ぼう」というかたちで横須賀や鎌倉などいろいろなところで続けています。県外からもオファーがあって、去年は福井や千葉、愛知、岐阜などに出向いて講演させていただきました。先ほどのヒデ2の稲田さんのお知り合いがあちこちにいて、声をかけてくださるんです。
去年の福井もそうでした。以前、世界アルツハイマーデー(9月21日)のイベントで神奈川県庁をオレンジにライトアップした時に、TVK(テレビ神奈川)の番組に出させていただいたことがあるんです。その最初の挨拶の時に夫が、「認知症ど真ん中の近藤です」と始めちゃったのが福井の方にすごく受けたみたいで。「こんな人がいるんだ」と稲田さんのほうにお話がありました。

英男さん
キャッチフレーズです。

小夜子さん
その時々で変わるんですけれどね。

英男さん
いつも何かおもしろいことはないかと考えているんで、そういうのが自然と頭の中からボコボコって出てくるんですよ。せっかくこうしていろんな人と関わり合えるようになって、いろいろやってもらったり、やらせてもらったりしてきているので、うれしい方向に、楽しい方向に持って行ければいいなと思っています。単一指向性じゃないけれど、楽しい方向だけに。

小夜子さん
いろいろとやることがあって楽しいね。

英男さん
ね、それはもうほんと感謝です。

認知症のことを、周囲の人やお友だちに話すことに抵抗はなかったですか。

小夜子さん
仕事に行かなくなった59歳半から2年か3年ぐらいは、ご近所にもそんなに言ってなかったと思うんです。でも夫が、近所の私の友だちに挨拶するのを見かけて、これは言っておかなければ、と思い、「主人、認知症だから、そのうちちょっとわからなくなって挨拶できなくなるかも」と言い始めて。そこから少しずつ話すようになりました。周りの方々にオープンにすることで、みなさんが病気のことを聞きやすくなりますし、「うちの親戚にもいるの」といった話も出るようになりました。

英男さん
昔からの仲間に話した時も、「え、ほんとかよ」で終わりですよ。あとは特に何も。

小夜子さん
みなさんびっくりしたとは思いますけれど、以前と変わらない感じでふつうにお付き合いしています。

英男さん
小夜子のお友だちなんかでも、俺のことをわかっている人はみんな友だちになっちゃっているから。

小夜子さん
そうそう。テレビや新聞にも出るようになりましたし、活動範囲を広げるためにも全部オープンにできてよかったと思います。

英男さん
いろんな人と付き合ったり、遊んだり。そうしているうちにだんだん楽しくなるものね。逆にね、認知症になる前よりも。

認知症のことを、周囲の人やお友だちに話すことに抵抗はなかったですか。
さっきクーラーをつけた時、英男さんは
「人生によい風が吹いてきた」とジョークを飛ばしていましたね。
家でもこういうふうにユーモアにあふれ、ポジティブな感じなんでしょうか。

小夜子さん
いえ、でもそうでもないです。外ではこうやって前向きの発言が多いですけれど、家にいるとけっこう“下向きの発言”があります。やっぱり最近、認知症の症状のためにできないことも多くなっているので、「俺はこれからどうなっていくかわからないから」というようなことをよく言います。自信がなくなってきている部分もあるんだと思うんです。だから、ね、落ち込んで話す時があるよね。

英男さん
人生いろいろ。変なこと考えてもいいし。楽しく考えてもいいし。個人個人、自分が生きたい道を選んでいるんですから。

小夜子さん
だからいろいろです。

英男さん
同じこと言ってもしょうがないでしょう(笑)。

小夜子さん
ただ、家にいる時はそういう状態でも、外に出て人に会うと、こうやってスイッチが入ったように感じが変わったりするので。家と外とで違うのも、それはそれで本人の刺激になっていいのかなあとも思います。いろいろあっていいのかなあと。

英男さん
やっぱり人に会って話すのはいいですよ。活性化しますもの。

小夜子さん
そういうことが多いから、診断から10年半経ってもこうして元気でいられるのかなと、それは思いますね。

あなたにとって認知症とは何ですか?(近藤英男 さん・小夜子 さん) あなたにとって認知症とは何ですか?(近藤英男 さん・小夜子 さん)
――― あなたにとって
認知症とは何ですか?

英男さん
もうお友だちですよ。それ以上でも以下でもないっていう。これからもね、仲良く、

小夜子さん
お付き合いしていかなきゃいけないね。

英男さん
そうですね。最高のお友だちになっちゃったですね(笑)。

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