早く受診していただいた方々のために

大阪大学大学院 医学系研究科
精神医学分野 教授 池田 学
取材:2018年8月25日 山の上ホテル(東京)

この5年10年で、認知症ではないけれど、認知症に進むかもしれないと思われる方も数多く受診されるようになりました。そうした段階の方々は薬物治療の対象ではありませんが、だからといって「様子をみましょう」だけで終らせることはできません。せっかく早く受診してくださったのですから、認知症の発症を抑えるような生活面のアドバイスをします。この段階の方に医師がすべきことはいっぱいあります。たとえば自動車運転に関して、「早く来ていただいたのですぐに運転をやめる必要はありませんが、もしかすると数年後にはやめざるを得なくなるかもしれないので、今からゆっくり準備をしていきましょう」といったお話をすることは非常に大事です。

将来的に認知症になるリスクについて詳しく説明を受ければ、誰でも不安になると思います。ですから心理的なサポートも含め、診断後のフォローも必要になります。一番大切なのは“ 寄り添う” ということです。私たち医師は寄り添いながら、以前と比べて何か変化はないか絶えず確認しなければいけません。それは専門医でもかかりつけ医でも一緒です。

高齢のアルツハイマー病の場合は、それだけで急速に病気が進行することはまずありません。多くは身体の病気で入院したときなどに急激に認知機能の低下が進みます。ですから信頼できるかかりつけ医をもち、何か新しい身体の病気が生じていないかつねにチェックしてもらうこともとても重要です。

Dr.IKEDAからもう一言

認知症は一つの病気ではありません。記憶力が衰えたり、計画が立てられないといった症状がみられる状態を表す総称です。認知症の原因となる病気は、アルツハイマー病やレビー小体病などさまざまですし、うつ病など認知症以外の病気によって認知症と似た状態が引き起こされることもあります。
病気によって治療や介護の方法が変わってくるので、最初に原因を正確に知り、その後の道筋を正しくつけることが早期受診・診断の目的であり意義です。

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