アルツハイマー型認知症にみられる症状と適切な対応

更新日:2021/12/08

記事監修

大阪大学大学院 医学系研究科 精神医学分野 教授
池田 学 先生

アルツハイマー型認知症でみられる主な症状と、それに対する適切な対応について紹介します。

記憶障害

記憶障害

アルツハイマー型認知症で最も目立つ症状の一つです。新しく経験したことを記憶できず、すぐに忘れてしまいます。たとえば、食事をしたこと自体(出来事記憶)を忘れてしまうのはそのためです。

記憶障害への対応

ご本⼈にとっては「記憶にないことは事実ではない」ということを忘れないようにしましょう。たとえば、同じことを聞かれても感情的にならず、できるだけ初めて聞いたように丁寧に接するようにしましょう。

見当識障害

これもアルツハイマー型認知症でよくみられる症状の一つです。時間や季節、今いる場所、見知った人がわからなくなるといった症状です。

見当識障害への対応

時間の感覚を保つために、日めくりカレンダーや時計を目立つところに置いておくといった工夫も大切です。また場所がわからなくなるため、トイレ以外で用を足してしまうこともあります。部屋やトイレの場所がわかるように、入り口を目立たせる表示をします。夜間はトイレや廊下の照明を点けたままにするなどわかりやすくします。

実行機能障害

計画を立てて順序よく物事を行うことができなくなる(段取りが悪くなる)ことを「実行機能障害」といいます。食事の準備ができない、リモコンなどの電化製品の使い方がわからないなど、手順通りにできないことが増えると、日常生活をひとりで送るのが難しくなってしまうこともあります。

実行機能障害への対応

今まで普通にできていたことが難しくなるわけですから、ご本人にとって不安であり、また言い出しづらい部分もあります。そんなときは、見守り適切なタイミングで助言をしたり、一緒に作業や操作をしたりすると効果的です。

理解・判断力の低下

自分が置かれている状況に応じた適切な行動や、物事を筋道立てて考えられなくなります。真夏にセーターを着ている、寒くても半袖のままなど、気候にあった服装ができなくなることもあります。

理解・判断力の低下への対応

大切なのは、プライドを傷つけない、ご本人を否定しないことです。「本人に悪気はない」ことを十分に理解して、さり気なくフォローすることが求められます。

BPSD(行動・心理症状)(不安、抑うつ、徘徊、不眠、妄想等)

bpsd

認知症では、認知機能の障害(記憶や見当識の障害など)のほかに、「BPSD(行動・心理症状)」とよばれる症状が現れることがしばしばあります。
BPSDには以下のような症状があります。

  • アパシー…意欲が低下して、何事にも無関心になり引きこもりがちになる状態
  • 不安……認知機能の低下を自覚して不安になる。そのことでイライラしてストレスがたまる
  • 徘徊……目的や道を忘れるなどして歩き回る状態
  • 不眠……昼間にウトウトしてしまうために起こる昼夜逆転等
  • 妄想……事実でないことを事実であると信じこむこと。
    例)誰かが自分の〇〇を盗んだという「物取られ妄想」

BPSDへの対応

症状によって対応は異なりますが、ご本人と良いコミュニケーションをとるために、以下のことを心がけましょう。

  • デイサービスやデイケアを利用して活動性を維持する
  • 不安なのはご本人であることをまず理解する
  • 感情的にならない。強くとがめない。ご本人が言うことを否定しない(プライドを傷つけない)
  • 何かを伝えるときは簡単な言葉で、同時にたくさんのことを言わない
  • 徘徊がみられる場合は、自治体に「徘徊SOSネットワーク」等があれば登録して利用する
  • デイサービスやデイケアを毎日利用して昼夜のリズムを整える
  • 複数の人が介護に関わるようにする

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