認知症による夕暮れ症候群への対応法

更新日:2021/12/09

記事監修

高知大学 医学部 神経精神科学教室 教授
數井 裕光 先生

夕方になるとソワソワして落ち着かなくなったり、少しのことに声を荒げたり、「そろそろ家に帰らせていただきます」と徘徊を始めたりするのは、認知症に関わる人の間ではよく知られていることです。
これを「夕暮れ症候群」と呼んだりします。
一般的な生活の中でも、夕方は晩ご飯の用意を始めたり、帰宅したり、何かとあわただしくなる時間帯ですから、ご本人も「いつまでもここにいていいのかしら?」「何かしなくてはならないことがあるのではないかしら?」と、落ち着かない気持ちになってしまうのだと思われます。
また、介護者もこの時間帯は何かと忙しくて、なかなか認知症の方のお世話ばかりしていられない事情が、この症状に拍車をかけます。
「早く話を切り上げて別の仕事をしたい」と思いながら相手をしていると、その介護者のソワソワがご本人にも移ってしまうのです。

対応法

好きなことをしている時には起こりません

ご本人が好きなことをしていたり、夢中になっている時には「夕暮れ症候群」は起こりにくい印象があります。
なるべくこの時間帯に合わせて、ご本人の好きなことをしていただけるよう、一日の予定を組んでみましょう。

会話のなかにご本人を加える

夕方ご本人が一人でポツンとしていることがないよう、介護する方や周囲の方は用事をしながらでも積極的に話しかけてください。
話の内容は必ずしもご本人向けでなくても、語尾に「ねえ、お父さん」などとつけるだけで、一体感が生まれます。

軽食やおやつを食べてもらう

夕方の空腹感がソワソワした気分を引き起こしていることもあります。お茶とお菓子、またおにぎりなどでお腹を少し満たしてもらいましょう。
介護する方も一緒にゆっくりお茶を飲んであげると、より気持ちが和らぐようです。

照明の工夫

外が完全に暗くなれば不安が収まってくる方もいますし、逆に暗いと余計に恐怖感が増す方もいらっしゃいます。
ご本人のタイプに応じて、照明を明るくするとか、夕日が入らないようにするなど工夫をしてみてください。

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