前頭側頭型認知症にみられる症状と適切な対応

監修:大阪大学大学院 医学系研究科
精神医学分野 教授 池田 学

前頭側頭型認知症でみられる主な症状と、それに対する適切な対応について紹介します。初期から行動障害が目立つ場合も多いため注意が必要です。

常同行動

毎日同じ場所に出かける(繰り返し同じコースの散歩)、同じ服を着たりするなどの「常同・強迫行為」や、時刻表のように毎日決まった時間に同じことをする「時刻表的生活」がみられます。日常生活の中で多くみられ、他の認知症との区別に役立つ症状です。

常同行動への対応

知覚や運動機能、空間把握能⼒等はある程度保たれていますので、本人の好みに合わせて、たとえばカラオケ、編み物、絵画、パズル等、身体で覚えるようなリハビリを⽇課に取り入れると、精神的にも落ち着きやすくなります。

社会性の欠如

万引きや無銭飲食など、抑制のきかない行為が目立つようになります。他の認知症と比べてご本人には自覚がない(病識の欠如)のが特徴です。

社会性の欠如への対応

ご本⼈には悪意も罪の意識もないため、慎重なケアが必要です。
たとえば、近所の⽅や近隣のスーパー、店などに病識や症状を理解してもらい、万引きがみられた際には、ご家族に連絡をしてもらうなどの対策をとることも必要になります。

言語障害

症状が進むと内容のある話ができない、相⼿の⾔葉をオウム返しする、⾔葉が出ない等、さまざまな⾔語障害があらわれます。また、前頭側頭型認知症の一つである意味性認知症では早期から⾔葉の意味がわかりにくくなります。

言語障害への対応

医療機関で言語聴覚士などからリハビリ治療を受けることができますが、ご家庭でもリハビリはできます。「おはよう」「いただきます」などの簡単なあいさつや、ゆっくりとした日常の会話から始めるとよいでしょう。言葉をカードに書いておいて、言いたいことをカードで伝えるという方法もあります。

食行動異常(嗜好の変化や過食)

初期は同じものを食べ続ける(常同行動)、甘い辛いものを欲しがる等の食行動異常が見られます。机の上に置いてあるお菓子を全て食べてしまうといった過食が目立つこともしばしばあります。

食行動異常(食欲の低下)への対応

前頭側頭型認知症では特徴的な症状の1つです。体重と糖尿病のチェックは定期的に行いましょう。

自発性の低下

症状が進行すると意欲や自発性の低下から、ぼんやりと何もしなくなり引きこもりがちになってきます。

自発性の低下への対応

日中の活動が低下すると、認知機能が一層低下したり、運動機能が衰えて寝たきりになるおそれがあります。デイサービスやデイケアを利用するなどして、活動性を高めるように働きかけましょう。

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