生活習慣の改善

1.定期的な運動実践

  • 長年にわたって、運動などの身体活動を積極的に行ってきた人は、活動をしていない人と比較した場合、認知機能が低下するリスクが低いという結果が出ている(※1)。
  • 特に、かなり運動をしてきた人は、その効果が高い(※2)。
推奨(※3)
  • 65歳以上の成人は、週に合計150分以上の中強度の有酸素運動をするか、週に合計75分以上の強度の高い活発な運動をする必要がある。
  • 有酸素運動は、少なくとも10分以上続ける必要がある。
  • 65歳以上の人は、中強度の有酸素運動を週300分に増やすか、150分の激しい強度の有酸素運動を週に1回、または同等の組み合わせで行うとさらに効果的。
  • 筋トレは、週に2日以上、主要な筋肉群を使って行う必要がある。

1) Gallaway PJ, et al. Brain Sci. 2017 Feb 20;7(2).
Hamer M, Chida Y. Psychol Med 2009; 39: 3–11.
Sofi F, et al. J Intern Med. 2011 Jan;269(1):107-17.
Stephen R, et al. J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 2017 Jun 1;72(6):733-739.

2) Hamer M, Chida Y. Psychol Med 2009; 39: 3–11.
Sofi F, et al. J Intern Med. 2011 Jan;269(1):107-17.

3) WHO’s Global recommendations on physical activity for health (2010)
(https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/312180/9789241550543-eng.pdf?ua=1 最終閲覧日:2021年1月6日)

2.禁煙

  • 禁煙は、うつ病、不安、ストレスの軽減、気分と生活の質の改善にも関連している(※4)。
  • たばこ依存症は、認知機能の低下(※5)だけでなく、高齢者の虚弱や作業能力(※6)などの他の障害や加齢に伴う状態にも関連している。
推奨(※7)
禁煙計画を立てる。成功する禁煙計画の重要な要素は、「STAR」という4つの頭文字で表すことができる

1.禁煙開始日を決める(Set)

2.友人、家族、同僚に禁煙することを伝える(Tell)

3.これから始める禁煙に困難が待ち受けていることを予想しておく(Anticipate)

4.自分の周りからたばこ製品をなくす(Remove)。

認知・行動療法( ものの受け取り方や考え方にはたらきかけて、気持ちを楽にする)。
薬物療法。禁断症状の緩和には、主に2 種類の薬物を用いる。一つはニコチン置換療法(NRT)、もう一つは非ニコチン置換療法のための薬物。NRT にはニコチンガムやニコチンパッチなどもある。

4)Taylor G, et al. BMJ. 2014 Feb 13;348:g1151.

5)Durazzo TC, et al. Alzheimers Dement. 2014 Jun;10(3 Suppl):S122-45.

6) Amorim JS, et al. Rev Bras Epidemiol. 2014 Dec;17(4):830-41.
Kojima G, et al. BMC Geriatr. 2015 Oct 22;15:131.

7) WHO’s training package on Strengthening health systems for treating tobacco dependence in primary care (2013). (https://www.who.int/tobacco/publications/building_capacity/training_package/treatingtobaccodependence/en/ 最終閲覧日:2021年1月6日)

3.健康的な食生活

  • 健康的な食事は、健康増進に重要な役割を果たす。 これまでの研究では、食事の変化が、生活習慣病(※8,9)や認知機能(※10)と関連することが明らかになっている。
  • 地中海式食事法を続けることで、MCI のリスクは低下する(※11)。
  •  
  • 果物と野菜(※12)、魚(※13)の摂取は認知機能低下リスクの低減と関連している。特に魚の消費量が多いほど、記憶力の低下を抑える効果があるとされている。(※14)。
推奨
  • 果物、野菜、マメ科植物(レンズ豆、豆など)、ナッツ、全粒穀物(未処理のトウモロコシ、キビ、オート麦、小麦、玄米など)。
  • 1日に少なくとも400gの果物と野菜。
  • 脂質のうち、トランス脂肪酸については、摂取量を総摂取エネルギーの1%に相当する量よりも少なくすることが目標。
  • 1日に2,000kcalを摂取している人では、吸収の早い単純糖質の摂取を5%未満に、脂肪の摂取を30%未満に抑える。脂肪の多い牛や豚などの動物性食品を抑え、食塩の摂取量を1日5g未満にするのが理想的。
  •  
  • ビタミンBやE、不飽和脂肪酸などのサプリメントの摂取は、認知症のリスクを下げる効果が確かめられていないため、推奨しない。

8)Diabetes Prevention Program Research Group., N Engl J Med 2002; 346:393-403.
Tuomilehto J, et al. N Engl J Med 2001;344(18):1343-150.

9) Rees K, et al. Cochrane Database Syst Rev 2013 Aug 12;(8):CD009825.
doi(8):CD009825.

10)Swaminathan A, Jicha GA. Front Aging Neurosci 2014 Oct 20;6:282.

11) Singh B, et al. J Alzheimers Dis 2014;39(2):271-282.
Wu L, Sun D. Sci Rep 2017 Jan 23;7:41317

12) Jiang X, et al. Front Aging Neurosci 2017 Feb 7;9:18.
Wu L, et al. J Nutr Health Aging 2017;21(10):1284-1290.

13) Bakre AT, et al. Public Health Nutr 2018 Mar 19:1-12.
Zhang Y, et al. Am J Clin Nutr 2016 Feb;103(2):330-340.

14)Samieri C, et al. Am J Epidemiol 2018 May 1;187(5):933-940.

15) WHO recommendations on a healthy diet
(https://www.who.int/en/news-room/fact-sheets/detail/healthy-diet 最終閲覧日:2021年1月6日)

4.適度な飲酒

  • アルコールの過剰摂取は、認知機能の低下や(※15)、200以上の病気の直接的な原因となっている(※16)。
  • 認知症および認知機能低下の危険因子としての過剰なアルコールに関する広範なエビデンスがある(※17)。
推奨
  • アルコール使用障害(危険で有害な飲酒)の場合は、医療機関でカウンセリングを受けることが効果的。
  • 軽度から中程度のアルコール摂取が実際に認知症および認知機能低下を防ぐと仮定することはできないという研究報告(※18)もあり、予防の観点からは飲酒量を減らすか断酒を推奨する。

16) WHO, Global status report on alcohol and health. 2014.
(https://www.who.int/substance_abuse/publications/alcohol_2014/en/#:~:text=The%20Global%20status%20report%20on,policy%20responses%20in%20Member%20States. 最終閲覧日:2021年1月6日)

17)Statistical classification of Disease and Related Health Problems (ICD) 10th revision, WHO, 1992.

18) Langballe EM, et al. Eur J Epidemiol. 2015 Sep;30(9):1049-56.
Sachdeva A, et al. Int J High Risk Behav Addict. 2016 Feb 7;5(3).
Zhou S, et al. Curr Alzheimer Res. 2014;11(9):899–907.

19) Beydoun MA, et al. BMC Public Health. 2014 Jun 24;14:643.
Hersi M, et al. Neurotoxicology. 2017 Jul;61:143-187.
Ilomaki J, et al. Curr Clin Pharmacol. 2015;10(3):204-12.

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