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“脳の健康”を意識していますか?

更新日:2022/02/01

記事監修

東京都健康長寿医療センター 副院長 / 脳神経内科部長
岩田 淳 先生

人は誰でも、年齢とともに体も脳も老化していきます。脳の衰えは、多くの人が思うよりも若い世代から始まります。体の健康と同じように、脳の健康も意識して、今から脳のコンディションを整えていきましょう。

アクティブなシニア時代を過ごしたい

10年後、20年後の自分を想像してみてください。まだはつらつと仕事を続けているでしょうか。仲間たちと趣味に熱中しているでしょうか。家族や友達と旅行を楽しんでいるかもしれませんね。思い描く将来の姿は人それぞれでしょうが、元気にいきいきと毎日を過ごしていることを願うのは、誰もが一緒だと思います。

体の健康と同じくらい、気にしたい脳の健康

シニア時代をアクティブに過ごすための、支えとなるのが健康です。「先々のことを考えて体を大事にしないと」「そろそろ生活習慣病の予防や運動機能の維持を心がけよう」と考えている現役世代の人も多いでしょう。実際、“体の健康”に関しては、バランスの良い食事、適度な運動、体重管理、睡眠時間の確保など、生活習慣の改善をはじめとした積極的な取り組みが行われてきました。
一方、“脳の健康”はあまり意識されてきませんでした。老化するのは体だけではありません。年齢を重ねるにつれ、脳の神経細胞の減少により、記憶力や理解力、判断力などの認知機能も低下していきます。
脳は体全体の司令塔。ほぼすべての臓器の活動をコントロールしている脳の機能が衰えると、身体活動も精神活動もスムーズに運ばなくなります。充実した日常生活・社会生活を送るためには、“体と脳の両方の健康”を保つことが大切です。

今の充実した生活が、将来の健康につながります

40代、50代になると、「体力が落ちた」「体を動かすのがおっくう」「肩や腰が重い」など体の不調を意識することが多くなります。体のコンディションを整えることは、先々の健康を支えるだけでなく、今のつらい症状の軽減にもつながります。そして、日々の生活をより充実したものとし、仕事やスポーツのパフォーマンスを高めることにも役立ちます。
このように、今と将来にわたる効果を実感しやすいことも、体に対する取り組みが積極的に行われてきた理由の一つといえるでしょう。

脳の健康を考えることは、現役世代にとっても大切です

では脳についてはどうでしょう。脳の衰えが始まるのはもっと先のこと──現役世代の人の多くは、そのように感じているようです。でもそれは間違い。気づきにくいですが、日々の仕事や生活をより豊かにするために欠かせない脳の機能も、働き盛りの世代から衰えが進んでいきます。「もの忘れが増えた」「集中力が落ちた」と感じるようになったら、それは脳の健康の危険信号かもしれません。

定期的に脳のコンディションをチェックしましょう

年代にかかわらず、多くの人が、体重を習慣的にチェックしたり、健康診断を毎年受けたりしています。今の体のコンディションを知ることで、運動不足や偏食を改めるなど、体の健康管理に役立てています。これからは、体と同様、脳のコンディションも定期的にチェックすることが大切です。

脳のコンディションは、体調や生活習慣、心のバランスによっても変わります

運動習慣やバランスの良い食事を継続し、適度な社会とのかかわりや精神的な活発さを保つなど、生活習慣を変えることで、脳の機能の衰えが遅れる可能性が報告されています1

自分の脳のコンディションや脳の健康を意識することに、遅すぎる、早すぎるということはありません。脳の健康を保つために、今できることから少しずつ始めてみましょう。

(参考文献)
1,Fratiglioni L,et al.:Lancet Neurol,3:343-353,2004

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