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介護生活「認知症の父と共に」福井県支部 奥越地区 男性

病気の始まり、受診のきっかけ

父の認知症は、今思い返すと、様々な物に名前を書いていたのが始まりのように思います。元々凡帳面な性格なので、はじめは違和感はありませんでしたが、一輪車のタイヤにまで記名してあるのを見て、おかしい! と思いました。その一年後くらいには、時間の経過がわからなくなって、春先に外した雪囲いを4、5月には再び施すようになりました。

受診したのは、私が退職後に1ヵ月のアルバイトを依頼された時、一人で家に置いて出かけることが不安になったためでした。

地域とのかかわりの中での工夫

日常生活の大部分は、補助は必要ながらも自立しています。しかし、35年前に退職した事実は理解できず、毎日仕事に行こうとします。そして、時々近くの小学校に入ってしまいます。学校には、家への連絡と校外への誘導をお願いしてあります。また、家から離れた所にいると、地域の方が知らせてくれ、近所の方々は世間話の相手をしてくれます。

毎日の生活で大切なこと

今は薬が合っているからか落ち着いていますが、以前は夜中に動き回るので、家人が眠れず困りました。このことがショートステイを利用するきっかけになりました。今大変なのは、一日に何回も「明日は仕事に行く。スリッパはあるか。弁当を作れ。着ていく服はどこにある…」と訴えることです。適当に相槌を打っていると不安が募るようだし、説明しても理解できず、説明の仕方が悪いからだと怒るのです。自分が「不安」で何度も聞くのだとわかりますが、家族にもストレスが溜まってきます。

介護を通して思うこと

認知症という「病気」にかかっているのだから、外科的・内科的な病気と同じように充分に看てあげなくてはと常に思いますが、ついついきつい口調になったり、イライラッとしてしまったりする自分に対してストレスが溜まります。この生活が何年続くのだろうと思うと不安になってしまいます。また、私自身がこのような状態になるのではないかと将来が暗く思える時もあります。

高齢の父をデイサービスやショートステイに出すことに、周りの人たちはどう思っているのだろうと気に掛かることもあります。でも、家に居ると確実に寝ている時聞が長くなり、ボケが進みます。施設に出向くことで、生活が規則正しくなり、人との関わりが増え、刺激を受けることができます。そしてなにより、介護のプロの目が、適切な対応を見つけてくださる! 父のために良いことなのだと思うようにしています。預けていても、いつも頭の片隅にあって繋がっているのですから、父もきっと理解してくれていると思っています。父は96歳ですがまだまだ元気です。この後もお互いに気持ちよく生活していくために、このサービスは欠かせません。有り難く思っています。

「ぽ~れぽ~れ」通巻396号(2013年7月25日発行)

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