アルツハイマー病を知る

アルツハイマー病を知る

こんな症状はありませんか?

記憶障害

約束を忘れたり、何度も同じことを話す

遂行機能障害

段取り、要領が悪くなる

抑うつ

趣味にや物事に興味がなくなる

視空間機能障害・失行

図形の描写がうまくいかない、近所や家でも迷う

言語障害

言葉がなかなか出てこない

見当識障害

時間、場所、人物の認識ができなくなる

物盗られ妄想

財布を盗まれたと言ってさわぐ

アルツハイマー病の
サインかもしれません

アルツハイマー病とは

アルツハイマー病は、アミロイドベータと呼ばれる異常なたんぱく質の蓄積と神経原線維変化という脳内での2つの変化を特徴としており、進行性の認知機能低下を引き起こします。

アルツハイマー病の病態1

アミロイドベータの沈着
神経細胞の外にアミロイドベータがくっつきあって沈着する
神経原線維変化
タウ蛋白が過剰にリン酸化されて神経細胞内に蓄積し、線維のような構造をとる

1中島健二 他 編集:認知症ハンドブック第2版(医学書院), 2020, 502-503.

アルツハイマー病の
疫学的特徴2

米国では、65歳以上の10%がアルツハイマー病を有すると推定されている
アルツハイマー病の有病率は加齢とともに上昇する
女性では男性の2倍の頻度でみられる
アルツハイマー病による認知症当事者数は、世界的に今後も増加すると予想されている

2Alzheimer's Association: Alzheimers Dement. 2020; 16(3): 391-460.

アルツハイマー病と認知症3

アルツハイマー病を起因とする認知症がアルツハイマー型認知症であり、認知症の67.6%をアルツハイマー型認知症が占める

3朝田隆:都市部における認知症有病率と認知症の生活機能障害への対応. 認知症対策総合研究事業(平成23年度~平成24年度)総合研究報告書.2013

長い時間をかけて少しずつ進行

アミロイドベータの沈着は、アルツハイマー型認知症の発症の20年以上前から始まっていることが知られています。アミロイドベータがたまり始める頃は、認知機能は正常で症状もありませんが、アミロイドベータが多くたまってくると神経細胞が障害されて認知機能が低下していきます。

アルツハイマー病が、長い時間をかけて少しづつ進行し、それぞれの症状を時系列で表した図。正常な認知機能(無症状) から、アルツハイマー病によるMCIを経て、アルツハイマー型認知症になっていく。それぞれ、アルツハイマー病の始まり:アミロイドベータの蓄積 → タウ蛋白質のリン酸化、蓄積の始まり:神経細胞の障害 → 脳の構造変化の始まり:脳の萎縮 → 症状の始まり:認知機能の低下 → 日常生活の支障
Jack CR Jr, et al. Neuron. 2013; 80(6): 1347-1358. を元に作成

アルツハイマー病は生活習慣病と同様に連続性のある疾患です。軽いもの忘れなどの症状があらわれるMCI(軽度認知障害)の状態を経て、日常生活に支障をきたすアルツハイマー型認知症へだんだんと進行していきます。

AD Continuum(アルツハイマー病連続体)と呼ばれます

記事監修:東京都健康長寿医療センター 副院長 / 脳神経内科部長 岩田 淳 先生