脳を活性化する運動“ブレパサイズ®”のこだわりとは?監修・島田先生に聞く

島田先生の写真

エーザイ株式会社は、2022年3月24日に脳を活性化する運動プログラム「ブレパサイズ」をリリースしました。監修は、国立研究開発法人国立長寿医療研究センターの島田裕之先生です。ブレパサイズを日常生活に取り入れることで、どのような効果が期待できるのでしょうか。ブレパサイズが脳にもたらす影響や監修する上でこだわった点などを伺いました。

2022年1月17日(ZOOM取材)

監修の先生

島田裕之先生

国立研究開発法人国立長寿医療研究センター老年学・社会科学研究センター長
平成15年北里大学大学院博士課程を修了(リハビリテーション医学)。名古屋大学、信州大学医学部、同志社大学の客員教授を併任。専門領域はリハビリテーション医学、老年学。認知症予防や寝たきり予防を目指した高齢者の健康増進のための効果的なプログラムの作成と効果検証を実践している。

ブレパサイズ®とは?

ブレパサイズは、エーザイが島田先生を監修に迎え開発した脳を活性化する運動プログラムです。音楽に合わせて体を動かし、「じゃんけん」や「計算」などの知的課題を同時にこなすことで脳へ刺激を与えます。

ブレパサイズの動画切り抜き

ブレパサイズの動画は「ファイター」「ダンス」「リズム」の全3種類で、それぞれ知的課題の難易度別に5本ずつ用意されています。ブレパサイズの特設サイトで視聴することができます。

監修者の島田先生が考えるブレパサイズ®の効果

まずは、脳に良い健康習慣とは具体的にどういうものか教えてください。

島田裕之先生(以下、島田):生活習慣と脳の関わりについてはここ20年で多くの知見が得られており、その中でも「活動」が影響を及ぼすことが分かっています。

活動といってもさまざまな種類があります。たとえば体を動かす「身体活動」、頭を使う「認知活動」、人と交流をする「社会的活動」。これらが認知機能の向上、もしくは脳の縮小の防止・抑制に効果があるということが明らかになってきました1。このような活動的なライフスタイルを身につけることが、脳の健康を保つために重要だと考えられています。

ブレパサイズ®︎は、「身体活動」と「知的課題」を組み合わせた運動プログラムですよね。このようなデュアルタスクは脳にどのような影響を与えるのでしょうか。

島田:人は何かをしようとする時点で必ず脳を使うものですが、その内容によって脳の活性度合いと活動量は異なってきます。ある程度自動的に行える活動であれば、脳の負荷は低いでしょう。反対に、複雑な課題を課せられたときの方が脳に負荷がかかって活性化することが分かっています。

運動するだけでも脳の活性化は期待できますが、そこに「じゃんけん」や「計算」などの知的課題を加えることで、デュアルタスクとなり脳のトレーニング効果がより期待できます。また、運動だけでは認知能力の「記憶」の部分の改善は見込めないのですが、デュアルタスクでは、記憶力の向上につながることも報告されています2

間違えているときほど脳は活性化している

ブレパサイズ®︎を監修する上で意識したことはありますか?

島田:いちばん大事なのは、継続できるかどうかという点です。三日坊主になってしまうと効果は見込めませんから、何よりも優先しないといけない。

継続するために何が必要かというと、ひとつは課題の面白さです。やっていて楽しくなければ、なかなか続けられない。ブレパサイズのメニューはそのあたりを工夫して作っています。もうひとつは、バリエーションの豊富さです。長く続けていくとどうしても飽きてしまうので、ある程度の種類や難易度を用意しました。ブレパサイズは3種類のプログラム×5段階の難易度別で動画を作っているので、飽きずに続けられると思います。

脳への刺激を目的としたトレーニング

実際に試してみましたが、難易度が低い動画でもとても難しく感じました......。

島田:最初は誰がやっても難しいと思います。全体的にもう少し難易度を下げてもいいかなとは思ったのですが、高齢者だけではなく中年期の方々にも使っていただきたいことや、飽きずに続けてもらうことを考えて、若干難易度は高く設定しています。

ですので、できなかったとしても、決してあなただけができないわけではないので安心してください。複雑な課題により脳が活性化するとお話しましたが、まさにできないときに脳は活発に働いています。「間違えているときの方が脳には良いんだ」と思って取り組んでほしいです。

間違えても大丈夫だと思えば気楽に取り組めそうです。

島田:脳のトレーニング効果を出すための条件としては、適度な負荷も必要です。ブレパサイズには「身体の負荷」と「脳の負荷」の2種類があります。身体の負荷は、軽く息が弾む程度の運動強度を基準にして、脈拍数などを見ながらプログラムを作りこみました。脳の負荷は、少し間違えるくらいがちょうどいいので、できる人もいればできない人もいるということを前提に作っています。

動画はどれも15分程度の内容ですが、時間へのこだわりなどはあったのでしょうか。

島田:習慣化を優先した上で、無理なくできる時間として設定しました。毎日少しずつやっていただければと思います。

プロトタイプの体験会もされたと伺いましたが、ユーザーの反応はどうでしたか。

島田:すぐにできる人もいれば、なかなかできない人もいました。「いろんな人がいていいんだ」という前提で作っていたので、ある程度は想定通りでしたね。そこから動きの面での課題や動画での伝え方など細かい部分で課題がいくつも見つかったので、ユーザーの声を取り入れながら包括的に改善して完成形に至りました。

ブレパサイズ®を機に脳の健康について知ってほしい

ブレパサイズ®︎は日常の中でどのように取り入れていけばいいのでしょうか。

島田:たとえばラジオ体操のように、毎朝の習慣として取り入れてもいいですよね。「週に数回」と曜日を決めてやるよりも確実に続けられそうです。

また、一人でやるのもいいですし、コロナなどが落ち着いたら「通いの場」などで人とわいわい集まってやるのも楽しいと思います。高齢者はもちろん、中年期の方々にも積極的に活用してほしいです。

島田先生はブレパサイズ®︎にどのようなことを期待していますか。

島田:まずは脳の健康について知ってもらうことが大事だと思っています。世間的には「脳の健康度は落ちていくばかりだ」というイメージが共通認識としてもたれています。

しかし、認知機能は長いスパンで見れば確かに下がっていきますが、必ずしも一方向に進むわけではないんですね。悪くなることもあれば、良くなることもあるんです。

何歳になっても、トレーニングをすれば脳の健康度を上げたり維持したりすることは可能だということは、数多くの研究結果が証明しています。このあたりの周知徹底はまだできていないので、ブレパサイズをきっかけに、脳の健康について正しい知識が広まっていけばよいと思っています。

最後にブレパサイズ®︎のユーザーにメッセージをお願いします。

島田:決して無理することはありません。うまくやらなきゃいけないということも考えなくていいです。とにかくまずはチャレンジして、無理なく楽しくできる範囲で継続することを一番の念頭において取り組んでいただければ嬉しいです。

取材・文:園田もなか 編集:ノオト

ブレパサイズはエーザイ株式会社の登録商標です。

ブレパサイズは疾患の治療や予防を目的としたものではありません。

ブレインパフォーマンス(脳の健康度:通称ブレパ):「記憶する」「考える」「判断する」など、脳のパフォーマンスを指す言葉。

新型コロナウイルス感染拡大防止に留意してご活用ください。

(参考文献)
1,M.Hamer et al. Psychol Med.2009;39(1):3-11(身体的介入)、Rovio et al. Neurobiol Aging.2010;31(11):1927-36(身体的介入)、Stern et al. Int J Evid Based Healthc.2010;8(1):2–17(認知活動)、Livingston et al. Lancet.2017;390(10113):2673-2734(社会的活動)
2,Shimada et al. J Am Med Dir Assoc.2018;19(7):584-591、Gates et al. Am J Geriatr Psychiatry.2013;21(11):1086-97.

この記事を共有する

ページトップに戻る