認知機能を維持させるポイント
多量飲酒の減量・中断

更新日:2021/12/08

記事監修

九州大学病院 精神科神経科 診療准教授
小原 知之 先生

習慣的な多量飲酒はやめましょう

WHOガイドラインおよび厚生労働省e-ヘルスネットでは、多量のアルコール摂取は認知症の危険因子であると指摘しています1。節酒を心がけましょう。

WHOガイドラインの推奨

認知機能が正常な人および軽度認知障害のある人に対して、認知機能低下や認知症のリスクを低減するために、危険で有害な飲酒を減量または中断することを目的とした対策を行うべきである。

危険で有害な飲酒とは、飲酒者本人の健康問題、家庭内の問題、社会的な問題、職場の問題を引き起こす飲酒です。

飲酒と認知機能の関係

少量〜中等量の飲酒が認知症のリスク低下と関連していることを示す研究は多い一方で、相反する結果も報告されており、因果関係もはっきりしていません2。しかし、多量飲酒者では、脳の構造変化と遂行機能(順序立てて実行する機能)の障害が認められ、認知症のリスクが高まるとしています2

1日のアルコール摂取量が20gを超えると、認知症の発症リスクが高まります。

どのくらいのアルコール量を摂取したら、認知機能低下のリスクが高まるのでしょうか。
その量はまだ分かっていませんが、アルコール摂取量と認知症リスクは、アルファベットの「J」のような曲線の関係にあるとされており、1日あたりのアルコール摂取量が20gを超えると認知症の発症リスクが高まっていき、38g以上は危険域に相当すると示されています3

アルコール摂取量20gの目安はどれくらい?

飲酒量は、認知機能への影響だけでなく、生活習慣病のリスクもあります。多量の飲酒はやめ、リスクを高める量を超えないようにコントロールすることが大切です。

(参考文献)
1,厚生労働省e-ヘルスネット:アルコールと認知症
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/alcohol/a-01-007.html(最終閲覧日:2021年12月8日)
2,Rehm J, et al. Alzheimers Res Ther. 2019;11(1):1.
3,Xu W, et al. Eur J Epidemiol. 2017;32(1):31-42.

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